起業したばかりの頃は、「まずは顧客を増やしたい」「実績を作りたい」という理由から、値引きをすることがあります。
初回限定価格やキャンペーン価格など、一時的な値引きが集客のきっかけになるケースもあるでしょう。
しかし、値引きが当たり前になり「安くしないと売れない」という状態になっているなら注意が必要です。
値引きを続けるほど売上が増えているように見えても、利益が残らなければ事業を成長させることはできません。
さらに、一度安い価格を基準にしてしまうと、通常価格へ戻すことが難しくなる場合もあります。
この記事では、起業後に値引きが常態化する危険性や、安売りから抜け出すための具体的な考え方について解説します。
この記事でわかること
- 起業後に安売りしてしまう3つの原因
- 安売りから抜け出すためのポイント
- 値引きしなくても選ばれるための考え方
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起業後に安売りしてしまう3つの原因
値引きそのものが悪いわけではありません。新規顧客を獲得するためのキャンペーンや、在庫処分など、目的が明確な値引きには意味があります。
問題なのは、営業するたびに値引きをしてしまう状態です。
「予算が合わないと言われたから下げる」「競合より高いと言われたから下げる」「契約してもらうために最後にもう一段下げる」といった対応を繰り返していると、顧客にとっての基準価格がどんどん下がってしまいます。
さらに、値引きによって売上を確保できても、利益が残らなければ、広告費や設備投資、人材採用など次の成長に必要な資金を確保できません。
中小企業向けの公的な起業支援情報でも、価格設定では原価や需要、競合状況を考慮する必要があり、コストや利益を無視した価格設定は経営に深刻な影響を与える可能性があるとされています。
つまり、値引きの問題は「商品を安く売ること」ではなく、利益を生み出せない価格で仕事を受け続けることにあります。
①実績がないから価格を下げる
起業直後は、「まだ実績がないから高い料金を設定できない」と考えがちです。
もちろん、実績や知名度が価格に影響することはあります。
しかし、実績がないことと、利益が出ない価格で販売することは別問題です。
安く受注して実績を増やす方法を取る場合でも、「いつまで」「何件まで」と期限を決めておかなければ、安い価格が通常価格になってしまいます。
②競合価格ばかりを気にしている
競合が5万円だから自社は4万円にする、といった価格設定を繰り返すと、最終的には価格競争に巻き込まれます。
特に小規模な会社は、大手企業と同じ規模で仕入れや広告、人員配置を行うことが難しいため、価格だけで競争すると不利になりやすいでしょう。
重要なのは、「競合より安いか」ではなく、「なぜ顧客が自社を選ぶのか」を明確にすることです。
③値引きしないと売れないと思っている
「高いと言われたら値下げしなければ契約できない」という思い込みも、安売りの原因になります。
しかし、顧客が価格だけを見ているとは限りません。
品質、対応の速さ、専門性、アフターフォロー、納期、利便性など、価格以外の価値を重視する顧客もいます。
値引きする前に、「そもそも顧客が何を理由に購入を決めているのか」を考えることが重要です。
安売りから抜け出すには「価格」ではなく「価値」を見直す
値引きをやめるために、いきなり価格を引き上げる必要はありません。
まず、自社の商品やサービスにどのような価値があるのかを整理しましょう。
同じ制作サービスでも、「納品するだけ」なのか、「企画から相談できる」のかでは提供している価値が違います。
同じ商品でも、納期が早い、専門性が高い、手間を減らせる、導入後のサポートが充実しているなど、顧客にとってのメリットがあれば、それを価格の根拠にできます。
価格を下げる前に、「この価格でも選ばれる理由」を作ることが、安売りから抜け出すための基本です。
値引きの代わりに「条件」を変える
値引きを求められたとき、単純に価格を下げる必要はありません。
たとえば、サービス内容を一部減らす代わりに価格を抑えたプランを用意する方法があります。
反対に、価格を維持したまま追加サービスを付ける方法もあります。
「10万円を8万円にする」だけではなく、「10万円のプラン」と「8万円の簡易プラン」を用意すれば、顧客自身に選んでもらえます。
この方法なら、価格を下げる必要がある顧客にも対応しながら、通常価格の商品を購入する顧客まで安い価格に引きずられることを防げます。
値引きのルールを決めておく
営業担当者や経営者の判断だけで値引きをしている会社では、値引きが常態化しやすくなります。
そこで、「どのような場合なら値引きできるのか」をあらかじめ決めておきましょう。
たとえば、新規顧客の初回限定、複数契約、長期契約、紹介案件など、会社にとってメリットがある場合だけ値引きを認める方法があります。
一方で、「なんとなく契約してもらいたいから」という理由では値引きしないようにします。
値引きに条件を設けることで、価格交渉のたびに利益を削る状況を防ぎやすくなります。
まとめ
起業後の値引きから抜け出すには、まず原価と利益を把握し、商品や顧客ごとの採算を確認することが重要です。
そのうえで、競合価格だけを基準にせず、自社の商品・サービスが選ばれる理由を明確にします。
値引きを求められた場合も、価格を下げるのではなく、サービス内容や契約条件を調整することで対応できる場合があります。
「安くすれば売れる」という考え方から、「価値を伝え、適正な価格で選ばれる」という考え方へ切り替えることが、起業後の安定した経営につながります。









