起業して売上が伸びてくると「もっと人を採用しなければ事業を拡大できない」と考える経営者は少なくありません。
しかし、人手不足が続く現在では、必要な人材をすぐに採用できるとは限りません。
採用できたとしても、給与や社会保険料、教育コストなどが発生するため、売上だけを見て人員を増やすと利益が残らなくなることもあります。
そこで重要になるのが、人を増やす前に、今いる人数で生み出せる売上を増やすという考え方です。
業務の効率化や価格の見直し、IT・AIの活用、サービスの仕組み化などを進めれば、従業員数を大きく増やさずに事業を成長させられる可能性があります。
この記事では、人手不足でも売上を伸ばしたい起業家に向けて、人を増やさずに事業を成長させるための具体的な考え方を解説します。
この記事でわかること
- 人手不足でも事業を成長させるための考え方
- 人を増やす前に見直したい業務
- 少ない人数で売上を伸ばす方法
- AIやITを活用して省力化するポイント
- 採用に頼りすぎない事業モデルの作り方
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人手不足でも事業を成長させるには
人手不足になると「人が足りない分採用しよう」と考えるのが一般的です。
もちろん、事業規模を拡大するうえで採用が必要になるケースはあります。
しかし、採用だけを人手不足への対策にすると、採用できなければ成長できない会社になってしまいます。
重要なのは、従業員一人あたり、あるいは経営者一人あたりがどれだけの付加価値を生み出しているかを見ることです。
たとえば、10人で月商1,000万円の会社が、単純に人を2人増やして月商1,200万円にする方法だけが成長ではありません。
業務を効率化して10人のまま月商1,200万円を目指すこともできます。
2026年版中小企業白書でも、労働投入量を最適化しながら付加価値を増やすことが重要とされ、AI活用やデジタル化、省力化投資などに取り組む企業で効率的な成長が進んでいることが示されています。
つまり、人手不足の時代には「何人いるか」だけでなく、限られた人材でどれだけ価値を生み出せるかが重要になります。
忙しいのに売上につながらない仕事を減らす
人を増やさず売上を伸ばすために、最初に取り組みたいのが業務の整理です。
会社の仕事をすべて書き出してみると、売上に直接つながる仕事と、事業を維持するために必要ではあるものの、経営者がやらなくてもよい仕事が混在していることがあります。
たとえば、データ入力、請求書作成、日程調整、定型的なメール対応、資料整理などです。
これらの仕事に経営者や営業担当者が時間を使っていると、本来注力すべき営業活動や顧客対応、新商品の開発に時間を使えません。
まずは「売上を生み出す仕事」と「売上を生み出す人を支える仕事」を分け、後者については自動化や外注を検討します。
人を増やす前に仕事そのものを減らすことで、現在の人員でも対応できる仕事量を増やせます。
AIを活用して作業を減らす
人手不足への対応では、AIやITの活用も有力な選択肢です。
たとえば、生成AIを文章作成の補助、議事録の整理、問い合わせ対応の下書き、社内資料の作成などに活用できます。
また、クラウド型の会計ソフトや顧客管理システム、予約管理システムなどを導入すれば、これまで人が手作業で行っていた業務を効率化できる場合があります。
ただし「とりあえずAIを導入する」という考え方では十分な効果を得られません。
2026年版中小企業白書でも、AIを活用する上で「どの業務に使えばよいのかイメージできない」ことや、活用を推進する人材の不足などが課題として挙げられています。
重要なのは、先に業務上の問題を特定し、その問題を解決する手段としてAIやITを導入することです。
「AIを使うこと」が目的ではなく、人が時間を使っている作業を減らすことを目的にしましょう。
単価を見直す
人を増やさず売上を伸ばす方法として、価格の見直しも重要です。
売上は「顧客数×客単価」で考えることができます。
顧客数を増やすには営業や広告などの追加業務が必要になりますが、適正な価格へ見直すことで、同じ顧客数でも売上を増やせる可能性があります。
たとえば、1件1万円の商品を100件販売すれば売上は100万円です。
これを1件1万2,000円にできれば、販売数が同じでも売上は120万円になります。
もちろん、単純な値上げで顧客が離れてしまっては意味がありません。
価格を上げるのであれば、サービス内容の改善や品質向上、サポートの充実など、顧客が感じる価値も合わせて見直す必要があります。
人手不足の会社ほど、仕事量を増やして売上を伸ばすのではなく、1件あたりの利益を高めるという発想が重要です。
すべての顧客に同じ対応をしない
人を増やさずに事業を成長させるなら、顧客の選別も必要になります。
顧客によって、売上だけでなく対応にかかる時間やコストも異なるからです。
たとえば、売上が大きくても問い合わせが非常に多く、個別対応に時間がかかる顧客がいる一方で、少ない対応時間で安定した利益を生み出してくれる顧客もいます。
そのため、顧客ごとの売上だけを見るのではなく、対応時間や利益まで含めて考えることが大切です。
利益率が低く、対応に時間がかかる仕事については、価格やサービス内容を見直します。
反対に、利益率が高く、少ない工数で満足度の高いサービスを提供できる顧客層には、営業やマーケティングを集中させます。
「顧客を増やす」だけではなく、利益を生み出しやすい顧客を増やすことが、人手不足時代の成長戦略になります。
外注を活用する
人手不足だからといって、必ずしも社員を採用する必要はありません。
一時的に業務量が増えているのであれば、外注やフリーランスなどを活用する方法もあります。
たとえば、経理、デザイン、動画編集、Webサイトの更新、事務作業など、専門性のある外部人材に任せられる仕事があります。
社員を採用すると継続的な人件費が発生しますが、外注であれば必要な業務だけを依頼することも可能です。
もちろん、外注にもコストがかかるため、何でも外に出せばよいわけではありません。
判断するときは、「その仕事を外注することで、自分や社員が売上を生み出す仕事にどれだけ時間を使えるようになるか」を考えます。
まとめ
人手不足でも事業を成長させるには、「人を増やすこと」だけを解決策にしないことが重要です。
まずは業務を整理して、経営者や従業員が本当にやるべき仕事を明確にします。
そのうえで、AIやITによる自動化、外注、業務の標準化などを進め、限られた人数でも対応できる仕事量を増やします。
今いる人材と限られた時間をどう使えば、より大きな価値を生み出せるか。
この視点で事業の仕組みを見直すことが、人を増やさずに売上を伸ばし、持続的に成長できる会社を作るための第一歩です。
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