営業活動において、テレアポ(テレマーケティング)は新規顧客獲得の重要な手段です。
しかし、多くの企業担当者が「テレアポをしても断られてばかり」「成約につながらない」と悩んでいます。実は、テレアポで断られるのは当然のこと。
大切なのは、断られた後の「切り返し」なのです。
本記事では、テレアポで頻出する断り文句に対する効果的な切り返しトークと、
成約率を高めるためのコツをご紹介します。これらの手法を実践することで、
テレアポの成果を大幅に向上させることができるでしょう。
テレアポの切り返しトーク集
テレアポで最もよく遭遇する断り文句と、その効果的な切り返し方をご紹介します。
これらは単なる台本ではなく、相手の反応に合わせてアレンジすることで効果を発揮します。
「営業ですか」と聞かれた場合
最初から警戒されるケースです。この質問は「営業なら話を聞きたくない」
という意図を含んでいます。
切り返しトーク例: 「はい、○○会社の山田と申します。ただ、今日はご提案というよりも、
△△業界における□□の課題について、御社のお考えをお聞かせいただければと思って
お電話しました。」
ポイント: 単なる営業電話ではなく、業界の課題解決や情報収集が目的であることを
伝えることで、警戒心を和らげます。
「提案」よりも「ヒアリング」という姿勢を見せることがポイントです。
それでも難しい場合は、相手のタイプによっては「営業であること」を素直に認める、
という場合もあります。
「結構です」と断られた場合
最も一般的な断り文句です。曖昧な断りなので、本当の理由を探る必要があります。
切り返しトーク例: 「ありがとうございます。多くの企業様でも最初はそうおっしゃいますが、
実際に5分だけお話を聞いていただいた○○社様は、年間△△万円のコスト削減に成功されています。もし同じような効果が期待できるなら、少しだけお時間をいただけませんか?」
ポイント: 具体的な成功事例や数字を示すことで興味を引き出します。
「5分だけ」など、時間を区切って負担感を減らすテクニックも効果的です。
「興味ない」と断られた場合
明確な拒否の姿勢を示されるケースです。この場合、無理に食い下がるのではなく、
理由を探ることが重要です。
切り返しトーク例: 「ご関心がないとのこと、理解しました。差し支えなければ、
どのような点で興味を持てないとお感じになったのか、お聞かせいただけますか?
今後の参考にさせていただきたいと思いまして。」
ポイント: 相手の意見を尊重しながら、断りの理由を探ります。
これにより、新たな切り口でアプローチできる可能性が生まれます。
また、「今後の参考に」と伝えることで答えやすい雰囲気を作ります。
「忙しい」と断られた場合
時間がないことを理由に断られるケースです。
これは必ずしも「興味がない」という意味ではありません。
切り返しトーク例: 「お忙しいところ申し訳ございません。
では、改めてお時間のよろしい日時にご連絡させていただきたいのですが、
いつ頃がよろしいでしょうか?」
ポイント: 忙しさを理解し、尊重する姿勢を見せることが大切です。
具体的な日時を提案して再アプローチの機会を作りましょう。
ただし、先方が本当に忙しい場合は無理に食い下がらず、後日改めて連絡する方が
印象が良くなります。
「必要ない」と断られた場合
商品やサービスのニーズがないと判断されているケースです。
この場合、潜在的なニーズを喚起することが重要です。
切り返しトーク例: 「ありがとうございます。実は同業の○○社様も最初は同じように
おっしゃっていたのですが、△△という課題をお持ちだったことが分かり、
ご導入いただきました。御社でも△△のようなお悩みはございませんか?」
ポイント: 同業他社の事例や、一般的な業界の課題を挙げることで、
潜在的なニーズに気づいてもらうきっかけを作ります。
「こんな問題ありませんか?」と具体的な課題を示すことで、共感を得やすくなります。
「予算がない」と断られた場合
コスト面での断りは、費用対効果を具体的に示すことが効果的です。
切り返しトーク例: 「ご予算の件、承知しました。弊社のサービスは初期投資を
△ヶ月で回収できるケースが多く、○○社様では年間△△万円のコスト削減に成功されています。
御社の現状をお伺いして、どの程度の効果が見込めるか、無料でシミュレーション
させていただくことは可能でしょうか?」
ポイント: 投資回収期間やROIを具体的に示すことで、「コストではなく投資」
という考え方を促します。また、無料診断やシミュレーションという形で、
まずは関係構築のステップを提案しましょう。
「検討します」と断られた場合
「検討します」は実質的な断りである場合が多いですが、適切にフォローすることで
商談につながる可能性があります。
切り返しトーク例: 「ありがとうございます。検討いただくにあたって、
お役立ていただける資料をお送りしたいのですが、メールアドレスをお伺いしても
よろしいでしょうか?また、検討のタイミングとしていつ頃が良いでしょうか?」
ポイント: 検討材料となる情報を提供しつつ、次のコンタクトポイントを確保します。
具体的な検討時期を聞くことで、本当に検討する意思があるのかを見極めることができます。
「担当者がいない」と断られた場合
決裁権や判断権を持つ担当者にたどり着けないケースです。
ここでは適切な担当者の情報を得ることが目標になります。
切り返しトーク例: 「失礼いたしました。では、○○(製品・サービス)について
ご検討される際は、どちらの部署・担当者様にお繋ぎするのが適切でしょうか?」
ポイント: 単に担当者の名前を聞くだけでなく、「どの部署が担当するか」という形で
質問することで、組織構造の情報も得られます。
得られた情報を基に、次回は適切な担当者にアプローチしましょう。
「他社と取引している」と断られた場合
競合他社との取引を理由に断られるケースです。この場合、差別化ポイントを
伝えることが重要です。
切り返しトーク例: 「ありがとうございます。多くのお客様が複数の会社と
比較検討されています。弊社の○○は△△という点で他社と差別化されており、
すでに他社製品をご利用中の企業様にも多くご導入いただいております。
もし現状の課題などございましたら、お伺いできますか?」
ポイント: 競合を否定するのではなく、自社の強みや差別化ポイントを伝えます。
また、「追加導入」や「一部切り替え」という選択肢があることを示唆し、
現状の課題をヒアリングする糸口を作りましょう。
テレアポで断られる理由は?
テレアポで断られる主な理由を理解することで、より効果的な切り返しが可能になります。
- 時間的制約:多くのビジネスパーソンは日々忙しく、予定外の電話に時間を割くことに抵抗があります。
- 過去の否定的経験:過去にテレアポによる悪質な営業を経験している場合、警戒心が強くなっています。
- ニーズの不一致:商品やサービスが相手のニーズと合致していない、または潜在的なニーズに気づいていない場合があります。
- 情報不足:短い通話時間では価値を十分に伝えきれず、理解されないことがあります。
- 決裁権の問題:電話に出た担当者に決裁権がなく、「上に確認する」という形で断られるケースもあります。
これらの理由を理解した上で、相手の立場に立った切り返しを考えることが重要です。
テレアポの切り返しで成約を獲得するコツ
単に切り返しトークを覚えるだけでなく、以下のコツを実践することで、
成約率を大幅に向上させることができます。
テレアポの流れを、事前に考えておく
成功するテレアポは、想定される反応やシナリオを事前に準備しています。
実践方法
- 想定される断りパターンをリスト化し、それぞれに対する切り返しを準備する
- 会話の流れ図(フローチャート)を作成し、各段階での目標を明確にする
- トークスクリプトは柔軟性を持たせ、相手の反応に応じてカスタマイズできるようにする
数字やデータを用いて、説得力を増す
抽象的な説明より、具体的な数字やデータを示す方が説得力が増します。
実践方法
「○○%の効率化」「年間△△万円のコスト削減」など、具体的な数値を準備する
- 業界平均や競合との比較データを用意する
- 成功事例の具体的な成果を数値化しておく
相手の言葉を否定しないで、共感する
断りに対して反論するのではなく、まずは相手の意見を尊重し、共感することが重要です。
実践方法
- 「おっしゃる通りです」「ご意見ありがとうございます」など、肯定的な言葉で返す
- 相手の懸念点を言語化して共感を示す(「予算面でのご心配は理解できます」など)
- 共感した上で、新たな視点や解決策を提案する
相手が断る理由から、本音を分析する
表面的な断りの言葉の裏にある本当の理由を探ることが大切です。
実践方法
- 「もう少し詳しく教えていただけますか?」と掘り下げる質問をする
- 断りの理由が変わる場合は、本当の理由に近づいていない証拠なので、さらに質問する
- 本音が見えたら、それに対する具体的な解決策を提案する
オープンクエスチョンで質問する
Yes/Noで答えられる閉じた質問ではなく、相手に考えを話してもらえる開かれた質問が
効果的です。
実践方法
- 「どのような点が気になりますか?」「現在の課題は何でしょうか?」など、開かれた質問を用意する
- 相手の回答から新たな質問を展開し、会話を深める
- 質問を通じて、相手のニーズや懸念点を引き出す
アプローチの方法を変えてみる
同じ切り口で何度も挑戦しても結果は変わりません。異なる角度からアプローチすることで、
新たな可能性が生まれます。
実践方法
- 商品の機能ではなく、課題解決の視点からアプローチする
- 直接的な営業ではなく、情報提供やセミナー案内など、別の形でコンタクトする
- 決裁者へのアプローチが難しい場合は、現場の担当者の課題解決からスタートする
ときどき雑談を交え、面白く切り返す
硬い営業トークではなく、時には軽い雑談や冗談を交えることで、
相手の警戒心を解くことができます。
実践方法
- 地域の話題やスポーツ、季節のイベントなど、共通の話題で短い雑談を交える
- テンションが下がった時こそ、明るく前向きな声色で会話を続ける
- 自虚的なユーモアを交えることで、親近感を持ってもらう
テレアポの切り返しトークで注意したいポイント
効果的な切り返しを実践する上で、以下のポイントに注意しましょう。
切り返しトークは、あくまで手段
切り返しトークはあくまでも商談につなげるための手段であって、目的ではありません。
相手の状況や心理を理解せずに機械的にトークを繰り出しても、効果は限定的です。
対策
- 相手の反応を観察し、臨機応変に対応する
- トークを暗記するのではなく、その意図や背景を理解する
- 会話の流れを重視し、無理に切り返さずに引く勇気も持つ
準備と改善を続けることが大切
成功するテレアポ担当者は、常に準備を怠らず、実践で得た経験を基に改善を続けています。
対策
- 成功・失敗事例を記録し、定期的に振り返りを行う
- 他のスタッフとトーク事例を共有し、多様な切り返し方法を学ぶ
- 業界動向や競合情報をアップデートし、説得力のある会話ができるよう準備する
「断られて当たり前」と割り切る
テレアポでは断られることが当然であり、それを個人的な拒絶と捉えないことが重要です。
対策
- 断られることを前提に、精神的な余裕を持って電話をかける
- 結果にこだわりすぎず、プロセスを重視する姿勢を持つ
- 断りの言葉を「ノー」ではなく「まだノーではない」と捉える発想の転換
断られる流れを自分で作らない
質問の仕方や言葉選びによっては、自ら断りやすい状況を作ってしまうことがあります。
対策
- 「お時間よろしいですか?」など、断りやすい質問は避ける
- 最初から「営業の電話です」と明言せず、目的を伝える
- クローズドクエスチョン(はい・いいえで答えられる質問)の連続を避ける
相手に感謝の気持ちを示す
どんな反応であっても、相手の時間を割いてもらったことへの感謝の気持ちを示すことが大切です。
対策
通話の最初と最後に感謝の言葉を述べる
- 断られた場合でも丁寧にお礼を言い、良い印象を残す
- 「お忙しいところ貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」など、具体的な感謝の言葉を用意する
成約率の増加を目指すなら、プロに頼むのもおすすめ
テレアポの成功率を高めるための様々な手法をご紹介しましたが、
社内リソースや経験が限られている場合は、テレアポ代行サービスの活用も
検討する価値があります。
テレアポ代行サービスのメリット
- プロのノウハウ活用:テレアポのプロフェッショナルが持つ豊富な経験とノウハウを活用できます。業種や商材に合わせた効果的なトークスクリプトや、断りへの最適な切り返し方法を熟知しています。
- コスト効率の向上:社内で専任のテレアポ担当者を雇用・教育するよりも、成果報酬型のテレアポ代行サービスを利用する方がコスト効率が良いケースが多いです。
- スケールの拡大:社内リソースだけではアプローチできる企業数に限りがありますが、代行サービスを利用することで短期間に多くの企業にアプローチすることが可能になります。
- 客観的な市場反応の測定:プロの視点からの市場反応の分析が得られ、商品やサービスの改善につながる貴重なフィードバックを得ることができます。
テレアポ代行サービスを選ぶ際は、単に安価なサービスを選ぶのではなく、
自社の商材や業界に精通した実績のある会社を選ぶことが重要です。
また、成果指標やレポーティング方法についても事前に確認し、効果測定ができる体制を
整えましょう。
テレアポにおける断りへの切り返しは、単なるテクニックではなく、
顧客の真のニーズを理解し、価値ある提案をするためのコミュニケーション技術です。
本記事で紹介した切り返しトークやコツを参考に、自社の商材や顧客特性に合わせた
アプローチを模索してみてください。継続的な改善と実践を通じて、
テレアポの成約率は着実に向上していくことでしょう。









